羞恥心は誇大的対象を発生源とした刺激伝達の分散現象である。つまり、ひとつの刺激伝達は弱い自己へ、そしてもうひとつの刺激伝達は謝罪的自己へ分散する。前者の刺激伝達経路はふたつあり、後者の刺激伝達はひとつである。その詳細については、精神分析統合理論を読んでもらいたい。ところで、羞恥心はすべての人に体験されるものではなく、病態水準(精神病、病的状態、防衛状態)に応じて出没する。また、羞恥心にならない場合は、屈辱感や非難として体験されるが、そうした細かな事情についても本書から学んでもらいたい。なお、研究者によっては羨望や嫉妬、それに羞恥心に過剰な関心を抱き、まるでこれらの精神力動こそ、無意識(精神分析)の解明にとって、特別に重要であると思い込んでいる者がいるだろうが、それは心の一部(片隅)しか見ていないということであるから、注意を要する。

