善悪から善だけを取り出す方法

 いま、我々が善悪から善だけを抽出したいと考えた時、どういう方法を考えるだろうか?おそらく、そのためには、極めて秀でた善の持ち主を探し出そうとするだろう。たとえば、(ある人のことを)誰に尋ねても、「いい人だ、素晴らしい」という評価だけが返ってくるので、その人は十分信頼に値する人だと判断し、(諸々の事象から発生する)善悪の判断を任せたとしよう。はたして、その試みは善悪から善の抽出を可能にするだろうか?たとえ、その人がどんなに秀でた善人であっても、すべての場合において、善を行使することは困難だろう。つまり、人の手による善は、いつも善である(善になる)とは限らない。あるいは、正義を持ち出し、それを基準にして、善悪の区別が可能であると主張する人がいるかも知れない。しかし、(その人が主張する)正義そのものが善であるという保証はない。それゆえ、我々人間の手によって、善悪を区別し、善悪から善だけを抽出することは不可能であると結論付けることができる。そして、その理由は簡単である。我々の精神の発生順を考えてみればよい。まず異常心理を作り出す不快−防衛系が発生し、次に正常心理を作り出す不快−制御系が発生する。だから、もし、完全な善を獲得しようとするならば、(人間の営みを超えて、)不快−防衛系に由来する意識から、不快−制御系に由来する言語を作るのではなく、(健全な)言語から(言語的な)意識を作る操作が必要である。

 

                     善の担い手

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精神分析統合理論は、革命的な精神分析理論である。心の健康と病気を定義付け、諸々の精神現象のメカニズムを解明している。その中でも、精神病である躁うつ病と統合失調症の成因を解明し、治癒をモットーにした根治療法を確立している。それによって、人類に課せられた最も大きな難問が解決されている。また、意識や自我意識の解明、「さとり」への道など、想像を絶する内容が含まれている。さらに、症例研究は比類なき圧巻である。精神医学や心理学の専門家だけではなく、心に関心を抱く知識人の方々にとっても必読書である。

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