変身願望

 幼い頃、テレビで「変身!」と叫んで超人に変身するアニメを見たことはないだろうか?変身は子供の想像力のみならず、大人の生活スタイルにも反映する。我々の日常において、変身は極めて多い。たとえば風貌や服装など、変身の道具には事欠かない。髪型ひとつをとってみてもそうである。いわゆる「おしゃれ」も変身である。美容整形もまた変身である。役者はいつも演技で変身する。それに変身は、時々、我々の生き様の中心的な課題になる。

 変身願望が我々の生き様の中心的課題になる場合、その多くは、今まさに体験している心の苦しみを乗り越えようとしてもうまくいかず、そうした苦しい自分から逃れようとして、もがいている心的状況にある。つまり、夢も希望もない自分や社会を感じ、絶望に陥っている心的状況である。そんな心的状況において、もし自責回路が活性化すれば鬱になり、もし不快の逆転送ルートが活性化すれば自殺につながる。これに対して、変身願望は鬱にもならず、自殺もしない方向へ自分を持っていこうとする営みである。その際に課題になるのは、既存の自己ー防衛ユニット(弱い自己ー理想的自己や、悪い自己ー処罰的自己)の内容とは異なる、新しい自己ー防衛ユニットの発見である。

 それをどのようにして見つけ出すか?すでに、誇大的自己の威力は低下しているので、覚醒度も下がっている。時間を掛けて吟味するゆとりもなく、何を欲しがっているのかさえわからないのに、ほとんど反射的(衝動的)に『これかなぁ?』と心に浮かんだものを眺める。しかし、それが何なのか見当すらつかず、それを思いついた理由も分からない。しばらくボーとして、その正体を探ろうとしていたら、突然、戦慄が走った。そして、『これだ!』と叫んだ。まさに、「異筋の直感」である。異筋の直感とは、非現実的な思考内容についての妄想的直感である。(脆弱・攻撃両系逆向性前駆型閉鎖回路が機能する。)しかし、たとえ思い込みの世界であっても、自己は新しい自己ー防衛ユニットを得たわけであり、今度はその内容に沿って一挙に動き出す。それがまさに変身願望を成就させるための遁走になったり、犯罪になったりする。

 

                      様々な精神症状の精神力動

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精神分析統合理論は、革命的な精神分析理論である。心の健康と病気を定義付け、諸々の精神現象のメカニズムを解明している。その中でも、精神病である躁うつ病と統合失調症の成因を解明し、治癒をモットーにした根治療法を確立している。それによって、人類に課せられた最も大きな難問が解決されている。また、意識や自我意識の解明、「さとり」への道など、想像を絶する内容が含まれている。さらに、症例研究は比類なき圧巻である。精神医学や心理学の専門家だけではなく、心に関心を抱く知識人の方々にとっても必読書である。

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