民主主義を阻む拝金主義

 「衣食足りて礼節を知る」という諺がある。我々生物にとって、無条件に必要なのは、食料と安全な環境である。そうした必需品を手に入れるためには、お金が必要であり、お金を得るためには働かざるを得ない。やりがいのある仕事であれば、仕事にも力が入り、その報酬を得ることは、さほど大きな困難ではない。しかし、時に人は納得のいく仕事に就けず、仕方なく稼がなければ生きていけないという事情も存在する。そのような困難さを、人は「金がないのは、首がないのより悪い」と嘆き、命があって金があるのではなく、金があって命があると、歪んだ思いに傾いていく。しかし、これとは真逆の場合もある。一部の富裕層は生活のために働く必要はなく、「金持ち、喧嘩せず」と、ほくそ笑んで、高みの見物を楽しむ。

 はたして、お金は自由と平等を作り出すか? 上記のような高みの見物は拝金主義の典型である。それでは、生活に必要な報酬は拝金主義を作り出すか? 必ずしも、そうではない。たとえば、食欲の場合を取り上げてみよう。体重が減ると食欲がわき、体重が増えると食欲が落ちる。食欲と体重は密接に関係し、生体内でコントロールされている。お金も食欲と似ている。衣食住を中心として生活が満ち足りてくると、お金に対する執着も減ってくる。ところが、おなかが空かないのに食べる。お金があるのに、さらに儲けようとする。前者は摂食障害であり、後者は拝金主義である。拝金主義は「貧富の差」をもたらし、救いの環から外れた病的な精神状態を作り出す。拝金主義では、不快―防衛系と好奇心が中心的な役割を果たす。

                    民主主義と人工精神

          *参照: 自由と平等の精神分析

               民主主義と精神分析

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精神分析統合理論は、革命的な精神分析理論である。心の健康と病気を定義付け、諸々の精神現象のメカニズムを解明している。その中でも、精神病である躁うつ病と統合失調症の成因を解明し、治癒をモットーにした根治療法を確立している。それによって、人類に課せられた最も大きな難問が解決されている。また、意識や自我意識の解明、「さとり」への道など、想像を絶する内容が含まれている。さらに、症例研究は比類なき圧巻である。精神医学や心理学の専門家だけではなく、心に関心を抱く知識人の方々にとっても必読書である。

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