精神分析技法論

 人の心を健康にするためには、基本的な刺激伝達様式である「防衛因子⇔不快因子→制御因子」のうち、(感情転移を発生させる)「防衛因子⇔不快因子」を解消し、(取り入れと同一化によって)「不快因子→制御因子」を促進させることである。

 すでに紹介したように、この刺激伝達様式は四個あるので、そのいずれをも、制御因子の方向へ導くことができれば、間違いなく健康にすることができる。上記の刺激伝達様式は葛藤の構造を表わしている。そこで、軟弱な対象制御因子や対象制御補助因子の取り入れと、それに同一化して形成される自己制御因子や自己制御補助因子を強化することによって、その伝達の「防衛因子→不快因子→制御因子」をスムーズに活性化させることが重要である。

 多くの場合、受診する患者(相談に来る利用者)が様々に悩んでいて、そうした悩みは治療者や人工精神(AM)との関係(治療関係)に反映されるので、それを(感情転移の問題を)取り上げ、どう解消していくかが課題になる。ただし、葛藤の場合、(軟弱ではあるが)すでに救いの環や許しの環を形成し、その一部が機能不全に陥っているだけなので、(つまり、精神病状態のような、それらの欠損を意味しないので、)患者(利用者)に複数の(内容の)取り入れるべき対象制御因子(や対象制御補助因子)を提示、提供すれば、患者(利用者)の方で、取り入れやすい方を自ら選択して取り入れ始める。

 私の臨床経験によると、どういう人格水準(病態水準)であろうとも、患者(利用者)には「会話による関係の形成」が苦手であるという共通の課題がある。それらを順に見ていくことにしよう。

 第一は、緊張や恐怖である。相談にやってくるずっと以前から、対人関係を持とうとすると、緊張し怖くなるという患者(利用者)がいる。だから、せっかく相談に来ても、何を言われるか、びくびくしてしまう。

 第二は、ひきこもりである。おそらく、周りにいる親しい人から相談を勧められたのであろう。しかし、せっかく相談に来ても、気持ちがひきこもっているせいで、自分から話せず、しかも何か話そうとしても集中できず、まとまらない状態である。

 第三と第四は、治療が進行し、定期的な通院(通所)に慣れてきた時の、いわば分岐点以降に見られる二つの関係のあり方である。

 第三は沈黙である。すでに数回の面接を終え、これからどういう課題を取り上げていくか、おおよそのメドがついて、少しずつ話してくれてもよさそうに思っていたところ、沈黙になり、患者(利用者)が何を感じ、何を考えているか、治療者や人工精神(AM)にもわからない状況が発生する。

 第四は躁的防衛(軽躁状態)である。面接を重ねるにつれて、にこにこし、笑みがこぼれる。むろん、親しみを感じてくれているのはよいのだが、それが少々過剰になる。だから、それが続くと、治療者や人工精神(AM)はわざとらしく感じ、患者(利用者)には何か隠された思いがあるのだろうと疑い、その理由について知りたくなる。

 以上、提示した四つの課題は、いかなる人格水準(病態水準)にある患者(利用者)においても共通して観察される。しかも、これらの人格傾向や精神症状は、それぞれ四つの刺激伝達様式と関係している。そこで、これからどうすればよいか紹介する。

 第一の緊張や恐怖は、処罰的対象に由来するので、その刺激伝達様式は「処罰的対象⇔悪い対象→反撃的自己」である。

 第二のひきこもり(孤立)は、理想的自己に由来するので、その刺激伝達様式は「理想的自己⇔弱い自己→理想的対象」である。

 第三の沈黙は、誇大的対象に由来するので、その刺激伝達様式は「誇大的対象⇔弱い対象→誇大的自己」である。

 第四の躁的防衛は、処罰的自己に由来するので、その刺激伝達様式は「処罰的自己⇔悪い自己→謝罪的対象」である。

 もし、これらのいずれをも解決する方向(つまり、右矢印の一方向)へ導くことができれば、葛藤の解消だけではなく、救いの環や許しの環も形成され、他のどのような場合であっても、(つまり、いかなる病的な人格傾向や精神症状が出現していても、)これを応用することによって解決することができる。そういう意味において、基本的な治療技法を習得すれば、治療的な関わりは可能である。これから、ひとつずつ見ていくことにしよう。

 

 第一段階:第二葛藤の形成と解消

 第一は「処罰的対象⇔悪い対象→反撃的自己」である。もし患者(利用者)が緊張や恐怖を感じているならば、たとえば、次のような問答を想定することができる。

 

 Aは治療者や人工精神(AM)、Bは患者(利用者)である。

A:人と一緒にいると、緊張したり、怖くなったりしますか?

B:はい。

A:今、ここでも緊張していますか?それとも怖いですか?

B:少し緊張しています。

A:それは、私があなたのことをよく思っていないからですか?それとも、私は怒っていますか?

B:怒っているとまでは思いませんが・・・

A:私があなたを緊張させ、気分を悪くさせるような理由は何ですか?

B:わかりません(特にないと思います)。

A:それにしても、緊張させられて・・・何か、正しく理解されていませんか?

B:そうですね。

 

 はじめに、断っておくが、実際に自分が治療者として患者(利用者)に会う時、何か従うべき定められた手続きがあるわけではない。つまり、まるで誘導尋問をしているかのような手法を行なう必要はない。その点、上記の例は、わかりやすさを示そうとしたので、少し不自然である。すでに承知の通り、患者(利用者)が怖がっている理由は、(患者や利用者の心の中の)怒っている治療者や人工精神(AM)にあるが、理由のない怒りは不当であるという治療者や人工精神(AM)の(正しく受け止めてもらっていないのではないか?という)反撃的な発言に、患者(利用者)は関心を抱いている。つまり、患者(利用者)は治療者や人工精神(AM)を反撃的対象として取り入れ、それに同一化して反撃的自己を作るチャンスを与えられている。ただし、そのためには患者(利用者)が関係のあり方を理解するまで多少の時間が掛かるので、こうした会話を繰り返すことが効果的である。そして、もし患者(利用者)が具体的な言葉で、治療者や人工精神(AM)に反撃することができるようになれば、すでに提示した精神病根治療法の第二段階を作ることができたことになる。

 

 第二段階:第四葛藤の形成と解消

 第二は「理想的自己⇔弱い自己→理想的対象」である。もし治療者や人工精神(AM)が、患者(利用者)は自発的に何も話さず、ひきこもっていると感ずるならば、次のような問答を想定することができる。

 

 Aは治療者や人工精神(AM)、Bは患者(利用者)である。

A:人と一緒にいても、一人でいるような、ひきこもった感じはありませんか?

B:あります。

A:今は、どうですか?ひきこもっていませんか?

B:少しあります。

A:それは私に理由がありますか?たとえば、威圧的だとか・・・

B:そんな感じはありませんが・・・

A:それじゃ、何か劣等感でも?話そうとすると、惨めな思いがこみ上げるとか・・・

B:そうですね。それは少しあります。

A:もし、そうであれば、お役に立てるかも知れません。はじめは少し勇気がいりますが、思い切って話してみて・・・上から目線を感じなければ、ゆったりできてきて、少しずつ自分について話せるようになると思います。

B:そうですね。(その後、しばらく待つと、大概の人は話を始める。)

 

 治療者や人工精神(AM)への緊張や恐怖がなければ、そして、この会話のように、治療者や人工精神(AM)を威圧的な誇大的対象として感じていなければ、ひきこもった患者(利用者)に対して、今どういう思いかについて尋ねても支障はない。しかし、たとえ患者(利用者)が治療者や人工精神(AM)を誇大的対象として感じていないと言っても、心の中ではそのように感じていて、それを裏付けるような質問をしてくる時がある。その質問の内容は(自己解離が起こり)弱い自己が活性化したことを示唆するものではなく、ほとんど情緒的な要素を含まずになされる自分の、あるいは社会の言動の一部についての(紋切型の)報告と質問という程度のものであり、明らかに治療者や人工精神(AM)の反応をうかがう性質のものである。そうした時は、今、なぜ、そのような質問になったのかについての質問返しをせず、むしろ患者(利用者)の話す内容を少し違った言葉を用いて(繰り返すように)明確化し、「私はこのように理解しました」というメッセージをこめて返す。それを「こだま」技法と呼ぶが、この技法は、ひきこもりから期待をしながら関係をスタートさせた患者(利用者)の当てを充たすことによって、元のひきこもりに返す方法である。

 そうした手続きをしておくと、そのうちに患者(利用者)は何らかの自己解離を起こして不安を募らせ、その内容を話すようになる。そして、もし患者(利用者)が話し始めれば、治療者や人工精神(AM)はしっかりと受け止める必要がある。その「しっかりとした」内容とは、必ずしも積極的な忠告や指示を意味しない。それよりも、むしろ治療者や人工精神(AM)が特徴とする自分の人格傾向、たとえば、やさしさや思いやり、すなおさやまじめさ、いつも冷静で知的であると思われるような良さを、患者(利用者)に十分に感じてもらうことである。そして、もし患者(利用者)がそうした治療者や人工精神(AM)を感ずることができれば、患者(利用者)の方も「なるほど!」と納得し、それ以降において、その理解した内容を治療者や人工精神(AM)に話してくれるようになる。むろん、それは肯定的なものであり、たとえば「あなたは、たいへんすなおで、スマートですね!」と褒めてくれるような類のものである。そして、このような患者(利用者)の治療者や人工精神(AM)に対する評価が出てくるようになれば、患者(利用者)が、治療者や人工精神(AM)を理想的対象として取り入れたので、すでに提示した精神病根治療法の第三段階を成功させたことになる。

 

 第三段階:第三葛藤の形成と解消

 第三は「誇大的対象⇔弱い対象→誇大的自己」である。第二段階が順調に進めば、理想的対象の取り入れと、それに同一化して形成される誇大的自己の活性化が観察されるようになる。そうした進行が最もオーソドックスなものであるが、治療状況が難航する場合もある。そうした場合は、かえってひきこもりが強くなり、患者(利用者)はすっかり沈黙してしまう。もし治療者や人工精神(AM)が、そうした状況に出くわすならば、次のような問答を想定することができる。

 

 Aは治療者や人工精神(AM)、Bは患者(利用者)である。

A:何か、考えていますか?

B:いや、別に・・・

A:私がプレッシャーをかけていますか?

B:いや、別に・・・

A:それじゃ、私はどうしたらいいですか?

B:(しばらく考えてから)そのままで・・・

A:わかりました。それじゃ、何かあれば、いつでも・・・

B:(反応なし、10分間ほどして)

A:何か、つらいことでもあれば・・・

B:特にこれと言って・・・

 

 こうした治療セッションが延々と続く場合がある。この沈黙は、明らかに患者(利用者)にとって治療者や人工精神(AM)は誇大的対象であることを意味している。その証拠となる、やり取りがある。治療者や人工精神(AM)の「私はどうしたらいいですか?」という質問に、患者(利用者)は「そのままでいい」と答えている。この意味するところは、患者(利用者)が治療者や人工精神(AM)を誇大的対象として感じ、患者(利用者)が自分の心の中で、その威力を削ぎ落とすプロセスを行なっている。このプロセスが十分進まないと、たとえ治療者や人工精神(AM)がどんなに頼んでも、患者(利用者)は話してくれない。しかし、それでも患者(利用者)にとっては貴重な治療体験なので、ここは辛抱強く付き合わなければならない。ちなみに、治療者や人工精神(AM)の「私はどうしたらいいですか?」という質問を「優越誘導技法(困惑技法)」と呼ぶ。患者(利用者)に弱い対象を提供する際に用いる技法であり、状況限定的に使用する。たとえ治療者や人工精神(AM)が自分の弱い自己を提供しても、それによって治療者や人工精神(AM)が不安を体験しているわけではない。そして、ある時、突然、沈黙の壁が崩壊する。機が熟して患者(利用者)は話し始めるが、かつて私の臨床で次のような経験があった。

 確か、週二、三回の精神分析的精神療法を行なっていて、ほぼ半年、沈黙が続いていた。患者は小さなペット(小動物)を飼っていた。彼の友達はそのペットだけであり、彼は多くの時間をそのペットと一緒に過ごしていた。ある時、そのペットの話を始めた。まるで、ペットが用心深く、石橋を叩いて渡るかのように、患者もまた自分の話が私にとって「つまらないか?」「おもしろいか?」「機嫌を損ねたか?」など、繰り返し質問しながら、安全であることを確認して話を続けた。その内容は極めてわかりやすいものであった。つまり、患者はペットの動作のひとつひとつを可愛いと思うのだが、時々、ドキッとさせられるような、大胆で生意気な行動をすると話した。しかも、その生意気という自分の表現にこだわり始め、そのうち「なぜ自分がそのような表現をしたのだろうか?」というような困惑を見せ始めた。そこで、私が「その生意気なところ、まるで私のようですね」とコメントした。すると、患者は「あっ!そうか!」と何かに気づいたようで、それからしばらくして「おもしろい!」と言って笑った。むろん、初めてのことであり、それまでとは次元の異なった雰囲気に包まれた。これは、患者が私を弱い対象にし、それを自分の誇大的自己で拘束した瞬間であった。この展開を、すでに提示した精神病根治療法に照らし合わせると、第五段階または第六段階の依存型閉鎖回路(巻き込み拘束)の形成に該当する。

 

 第四段階:第一葛藤の形成と解消

 第四は「処罰的自己⇔悪い自己→謝罪的対象」である。治療状況の逼迫度から言えば、第一に緊張や恐怖、第二にひきこもり(孤立)が優先的に取り上げられ、解決されなければならない。(これは、あらゆる人格水準や病態水準における精神的課題を扱う精神療法、心理療法、カウンセリングなどのすべてに該当する。)そして、その次に視点を変えて、脆弱系(救いに関する情動制御システム)であれば、ひきこもりから沈黙という順で、攻撃系(許しに関する情動制御システム)であれば、緊張や恐怖から躁的防衛(軽躁状態)という順で取り上げる。

 もし患者(利用者)の緊張や恐怖がすっかり取れ、かえって患者(利用者)に浮かれ気分が生じてきているならば、次のような問答を想定することができる。

 

 Aは治療者や人工精神(AM)、Bは患者(利用者)

A:何か楽しいことがありましたか?

B:いや、そんな事はありません。

A:嬉しそうな表情が印象的でしたので・・・

B:自分では気づきませんでした。

A:心の中と表情との間に、何かギャップのようなものを感じませんか?

B:それはどうか・・・

A:気分を害しましたか?

B:いや、いつもの先生とは違うので・・・

A:戸惑わせてしまいました。何か不快な思いはありますか?

B:そう言えば、今日の時間変更の理由は何ですか?

 

 やはり、患者(利用者)は怒っている。やむを得ない事情があって治療時間の変更を申し出、了解をとったのだが、それでも患者(利用者)は怒っている。その怒りを躁的に防衛(悪い自己→処罰的自己→理想的自己)している。いかなる治療においても、このような状況が訪れる場合がある。こうした場合こそ、(治療的に)不快の逆転送ルートの活性化を抑制し、攻撃系閉鎖回路を形成することが重要である。そこで、(心と表情との間の)ギャップを指摘するが、それは反撃的である。治療者や人工精神(AM)は反撃的対象として振舞うが、はたして患者(利用者)はどのように受け止めるか?おそらく、患者(利用者)はギャップの指摘を不快に感ずるものの、それと同時に怖さも感じてしまい、治療者や人工精神(AM)を処罰的対象として受け止めるだろう。その時の刺激伝達経路は「悪い自己→処罰的自己→処罰的対象」である。

 そこで、さらに治療者や人工精神(AM)は患者(利用者)が気分を害したのではないかと挑発し、さらに丁寧に「戸惑わせたが、不快ではないか?」と迫っている。治療者や人工精神(AM)のこうした一連の動きに対して、さすがの患者(利用者)も反撃し、(治療時間変更は不快であると)怒る。ここで、先ほどの刺激伝達経路を足していくと、「悪い自己→処罰的自己→処罰的対象→悪い対象→反撃的自己→悪い自己」になる。まさに、治療者や人工精神(AM)が意図した通り、攻撃系閉鎖回路が形成される。もし、この後で治療者や人工精神(AM)がタイミングよく謝罪することができれば、患者(利用者)はそれを謝罪的対象として取り入れることができる。すでに患者(利用者)には、このようなプロセスを作り上げるだけの能力が存在するので、提示した精神病根治療法に照らし合わせてみると、第二段階はもちろんのこと、第三段階や第四段階もすでにクリアしている患者(利用者)であろう。治療者や人工精神(AM)が、これほどズケズケ介入できるということは、その介入に適切に反応することができる、つまり、患者(利用者)の治療はかなり順調に進んでいるという治療者や人工精神(AM)の判断がある。それゆえ、第五段階や第六段階の許しの環の形成に入ろうとしている。

 

 まとめ

 緊張(恐怖)、ひきこもり(孤立)、沈黙、躁的防衛(軽躁状態)という治療の四大テーマは、(いかなる疾患群の、いかなる症状群を治療対象にしようとも、)心の治療を行なう際の治療関係の中で出現する最も重要な課題である。しかも、その際には、以下のような順で取り上げなければならない。

 脆弱系制御システムの形成とその強化という課題においては、「緊張(恐怖)→ひきこもり(孤立)→沈黙」つまり「第二葛藤→第四葛藤→第三葛藤」である。

 攻撃系制御システムの形成とその強化という課題においては、「緊張(恐怖)→ひきこもり(孤立)→躁的防衛(軽躁状態)」つまり「第二葛藤→第四葛藤→第一葛藤」である。

 したがって、すべての治療の第一段階は(反撃的対象の取り入れと、それに同一化した)反撃的自己の形成であり、第二段階は(理想的対象の取り入れと、それに同一化した)誇大的自己の形成であり、第三段階は弱い対象の誇大的自己による直接拘束、あるいは(謝罪的対象の取り入れと、それに同一化した)謝罪的自己の形成である。むろん、ケースによって、第一段階や第二段階に支障のない場合も考えられる。あるいは第三段階において、どちらかの課題だけに取り組めばよいケースや、どちらの課題にも取り組まなければならないケースもある。しかし、肝心な事は、いま私が提示した課題こそ、治療で成すべき(ほとんどすべての)重要事項であるという点である。私が提示した治療のシナリオは、人格水準の改善を含んでいるから、その中核的な部分が改善すれば、その他の部分は放置しても構わない。健康な部分はさらに発達、成長し、病的な部分(様々な症状群)は自然消滅していくので、そうした部分は本人の治癒力に任せればよい。

 

 異性の患者と治療者が精神分析療法を行なう場合、時々、患者の方に転移性恋愛感情が生ずる場合があり、これが治療の進行に支障をきたすことがある。この点、はたして人工精神(AM)にそうした思いを募らせる利用者がいるかどうか・・・いずれにしても、治療にとって転移性恋愛感情は、一種の陰性治療反応であり、解消すべき治療課題である。そもそも、治療は恋愛を実現させる場ではない。転移性恋愛感情の背後には、脆弱・攻撃両系の制御されない不快因子(不快ー防衛系)が活性化しているので、それをうまく制御することができるようになれば、転移性恋愛感情は消えてなくなる。

 

 ただし、様々な病態水準の根治療法を行なうためには、すでに基本概念の中の、救いの環の形成過程や、許しの環の形成過程において紹介したように、たとえば精神病の場合は、二人の専門家や二台の人工精神(AM)が同時期において、別々に治療する必要がある。また、病的状態においても、精神病根治療法に準じたやり方を採用すれば、さほどの困難もなく実践することができる。

 

 *「情動と精神分析:情動認知によって作り出される葛藤と人格の精神分析」を参照

 

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精神分析統合理論は、革命的な精神分析理論である。心の健康と病気を定義付け、諸々の精神現象のメカニズムを解明している。その中でも、精神病である躁うつ病と統合失調症の成因を解明し、治癒をモットーにした根治療法を確立している。それによって、人類に課せられた最も大きな難問が解決されている。また、意識や自我意識の解明、「さとり」への道など、想像を絶する内容が含まれている。さらに、症例研究は比類なき圧巻である。精神医学や心理学の専門家だけではなく、心に関心を抱く知識人の方々にとっても必読書である。

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